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登山のためのロープワーク初級

ロープワーク初級

■ 本ページを実践する方へ重要なお知らせ

 本ページではロープワーク講習のためのロープ技術と装備品の一例を示しています。ロープワークは確実な技術が必要なので、経験豊かな指導者のもと習得してください。

登山のためのロープワーク

 一般登山道においても、3,000m級の高山に限らず低山においても鎖場や岩場が出てくることがあります。特に、鎖場や岩場が連続する難所と呼ばれる個所の通過のために、基礎的なロープワークを知っている・身に付けていることでより安全に行動ができるでしょう。ロープの結び方や方法や手順を確実に覚え、いざというときに役立てましょう。
 なお、様々な装備や器具を使用することにより岩場の通過に時間がかかり、落石等も引き起こしやすくなるので、他の登山者に危険を及ぼすことのないように注意しましょう。特に、ロープを出して確保や懸垂下降する場合やロープを引っ張るときに思わぬ落石を引き起こすことがあるので、十分注意しましょう。
 また、英語ではロープ(rope)ですが、ザイル(Seil)はドイツ語で同じ意味です。登山用語について、日本はドイツ語で使っていましたが、近年は、登山用語について英語で表記する流れになってきています。本サイトでも英語表記を基本としていますが、長年親しまれたドイツ語(アイゼン、ピッケル等)は併記するようにしています。

自己確保(セルフビレイ)

 急傾斜の岩場での滑落は、骨折や打撲等の大事故につながる危険性が高いので、そのような危険個所において自分自身を固定された支点(アンカー)に確保(自分のハーネスと連結)する場合があります。これを自己確保(セルフビレイ)と呼びます。

【自己確保の方法・手順】

 (A)危険箇所では必ず自己確保(セルフビレイ)をとりましょう。確保する場所は、鎖のアンカー(岩に打ち付けられた杭の部分)やしっかりした潅木、岩角など。自分のハーネスのビレイループに120cmのソーンスリングをガース・ヒッチ(カウ・ヒッチ、ひばり結び)で接続して、安全環付カラビナを確保する支点にかけます。この時、スリングが長すぎると滑落した時の衝撃が大きく、短すぎると動きにくいので、ルートによって60cm〜120cmのソーンスリングを使い分けると良いでしょう。また、ソーンスリングの中間にオーバーハンド・ノット(止め結び)でソーンスリングの中間に結び目を2つ程度作り、長さを調節できるようにしておくと使いやすい。
 (B)自己確保する時は必ず鎖や岩をしっかり持って自分の体勢が安定した状態で、片手で安全環付カラビナを支点にかけます。滑落の危険がほとんどなく両足でしっかり立てる場所ならば、両手でアンカーにかけても問題ありません。
 (C)確保する場合、アンカーや灌木は必ずテスティングします。特に灌木や岩角は、一見安定しているように見えて、思わぬ角度から引っ張ったり・押したりすると、動く場合があります。ただし、過剰なテストはアンカーを痛めてしまうのでやめましょう。特別な理由が無い限り、これらの支点を石やハンマーで叩いたりすることは絶対やめましょう。
 (D)岩場を横切る(トラバース)時は直接鎖に安全環付カラビナをかけて、横移動します。安全環がオートロックのカラビナを片手で開閉できるようになると、素早く設置することができます。
危険個所での自己確保(セルフビレイ)

懸垂下降(ラペル、ラペルダウン)

 急な岩場の下降の時に、ロープを使って懸垂下降する場合があります。懸垂下降は手順を間違えると非常に大きな事故につながる危険性がある技術だと十分認識したうえで練習してください。特に、初心者だけで実際の岩場で練習することはかなり危険なので、適切な指導者に習うようにしてください。

懸垂下降方法の手順

 (A)120cmスリング(中間に1ヶ所オーバーハンド・ノットで結び目を作る、2ヶ所以上でもよい)と安全環付カラビナで自己確保します。
 (B)・(C)中間の結び目に安全環付カラビナで確保器をセットします。
 (D)自己確保したまま懸垂下降のシステムに体重をかけて効きを確認します。この動作を忘れると、懸垂下降のシステムができていない時に、大事故になる場合があります。
 (E)下降する前にロープが左右に動くか確認します(ロープが隙間に挟まって抜けなくなることがあるので、懸垂下降後に下からロープの片方を引き抜く確認しておきます)。
 (F)懸垂下降用のロープを持って自己確保の安全環付カラビナを片手で解きます。不意にバランスを崩したり、スリップした場合、滑落する危険性があるため、この時から右手(下の手)は、絶対離してはダメです。
 (G)下降する足場を確かめるために、体を反転させて下降する方向を目視で確認します。足場をしっかり目で確認し、少しでも安定した場所に足を置くようにします。下降時に、落石等を引き起こして下にいる人に危険を生じる場合があるので、よく気を付けます。腰をおとしてしっかり体重をかけて、足を伸ばして下降します。足を曲げすぎるとひっくり返ったり、バランスを崩したりする場合があります。下降したら、次の人もしくは先に降りた人に、「下りました」とはっきり伝えましょう。
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フィックスロープ(固定ロープ)の登り方

 急な岩壁や危険個所のトラバースなど、フィックスロープを張って通過する場合があります。フィックスロープにフリクション・ヒッチで自己確保しながら通過します。この技術はフリクション・ヒッチの特性、片手でのロープ操作、確実なクライミングができる場合です。これらの技術に不安があるようであれば、スタカットビレイで登りましょう。

フィックスロープの登り方の手順

 (A)固定分散のアンカー(荷重方向が決まっている場合)に固定のロープをセットします。
 (B)ロープスリングの場合はプルージックでフリクションヒッチを使います。フィックスロープとロープスリングの直径に差が無いと効きにくいので巻き回数を多めにします。片手でできるので、登山や雪山で使われることがあります。
 (C)ソーンスリングの場合は、オートブロック(マッシャー)を使います。素材がダイニーマの場合は滑りやすいので注意が必要です。
フリクション・ヒッチ(プルージック、クレイムハイスト)

プルージックのセット方法

 (D)・(E)フィックスロープにロープスリングを3-5回巻きます。ロープスリングとフィックスロープの直径の差が大きいときは少なく、小さいときは多く巻く必要があります。ロープの素材や柔らかさ、コーティング加工、直径等によって一概に何回巻くのが良いか決めることができないので、その都度フリクションの効きを確認しましょう。
 (F)結び目をきれいにそろえます。きれいに揃えていないと、ロープスリングが滑ってフリクションが効かない場合があります。
 (G)結び目を少しずらしてハーネスのビレイ・ループに安全環付カラビナで接続します。
 (H)比較的安全な場所で体重をかけてみて、効きを確認しましょう。
プルージックの結び方

登り方

(I)フリクション・ヒッチを片手でゆるめます。結び目を少し握ったり離したりすると緩まります。(J)しっかりした岩や鎖を片手でつかみバランスを取って、フリクションヒッチをゆるめた状態で1m程度登り、(K)フリクション・ヒッチの結び目を引き上げます。(L)しっかり効いていれば止まります。ただし、プルージックでの自己確保しながらの登攀はあくまで補助的な使い方だと認識してください。この仕組みで垂直に近い岩場を登ることは、そもそも危険です。そういった危険個所ではスタカット(隔時登攀)でピッチを切りながら登るのが普通です。
フリクションノットで自己確保しながらの登り方

■ ウェアやシューズの留意点

 (A)・(B)岩場や鎖場を通過する際は、手足を保護するため長袖・長ズボンが基本です。
 (C)皮手袋は岩や鎖でも滑りにくく、手の保護になるのでおすすめです。軍手やナイロン・グローブは鎖で滑りやすいので気をつけましょう。
 (D)靴底(ソール)のフリクションがいいシューズを選択しましょう。
登山のためのクライミングウェアやギア

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